カミュ『ペスト』にてJean Tarrouの滞在するホテル
カミュの『ペスト』にて、独特のリズムのある口調で話す登場人物、Jean Tarrouは"un grand hôtel du cantre"(原文より)、「中央のある大ホテル」(宮崎訳)に暮らしている。
このホテルとはオラン市に在ったHôtel continental だと思われる。以下を参照。
https://brill.com/previewpdf/book/edcoll/9789004302679/B9789004302679-s016.xml
(でも、おそらくホテルコンチネンタル、フランス語でvraisemblablement l'hôtel continental という表現。中心地でその時代に建っていた大きなホテルである以外にも根拠はあるのかわからない。)
一番左の建物がそれである。画像の右下を占める、木に囲まれた土地はペストにも登場(ネズミが死んでいた場所として)するLa Place d'armes、そして現在はPlace Premier November 1954と名を変えている。
旧名称で呼ばれていた時代、カミュはしばしばここを訪れていたようだ。
物語の登場人物であるメルシエ氏が、そこの鼠害対策課で課長として働くオラン市役所もそばにある。
こちらには通りの名称も書かれているが、現在の地図上にはどちらの名も見受けられない。
ところで、部屋数や定食(というか決められたコース?)、電話の用意があることなどを列挙する、ホテルの絵の下の文字列にChambre noireとある。日本語にすれば暗室となるが、どういうことだろう。写真の現像に使うくらいしか用途が思い浮かばない。
あと、ざっと調べただけではこのホテルの正確な場所もわからなかった(Googleマップ上でも方向音痴だから)。広場の4つ角のどこかひとつから、通りを挟んだところにあることまではわかったのだが。取り急ぎ、以上に調べたことを書き留めた。
【追記】
①Chambre noirは画像とか映像とかを鑑賞出来る部屋のことなんじゃないの、と教えてもらった。
真っ先に写真の現像を思い浮かべてしまったから、その発想は持てなかった。
②ホテルの位置を特定してもらった。
Sidi Glahimの像の向きから、多分ここだろうと。
わかったからって何になるということも無いが、嬉しいものだ。
航空写真だとこのへん。