放蕩する惰性

取るに足らない調べ物の供養など

方向指示器(ウィンカー)

カミュの『ペスト』の訳読で、ウィンカーなるものを初めて知った。いや、ウィンカーという言葉は一度くらい聞いたことはあったのだろう。なんとなく聞き覚えがあった。だが、少なくともそれが何なのかは知らなかった。

 

だからウィンカーを出す車を、ウィンカーを出す車として、今日初めて認識した。視界には入っていただろうが認識していなかった光景が突然命名された。

 

車のライトは暗い時に前方を照らすだけだと思っていた。角を曲がる時に点滅させたり、ブレーキを踏むとつくだなんて!

 

 

 "Il est distrait au volant de son auto et laisse souvent ses flèches de direction levées, même après qu’il a effectué son tournant."

なんと、この箇所が何を言っているのかがわからなかったのだ。どうかしている。

 

自分に関係の無いことをシャットアウトしてしまう悪い癖には薄々気が付いていた。

だからってウィンカーも知らないくせにピルカとか膿瘍固定とか調べてる場合じゃない。事実関係を確認して、『ペスト』の日本語訳における誤訳を指摘している場合じゃない。そんなことをする人間がウィンカーを知らないのは、傍から見ればたいそう滑稽だろう。